2008年 01月 09日
島本理生作品、3作目。
一番最初に読んだ『ナラタージュ』が私にとってかなり強烈な印象を残す作品だったため、それを越える感動って同じ作者の作品では難しいのではないかな? なんて思ってました。 でも、この『リトル・バイ・リトル』であっさりとその思いが覆されました。 読んでいる間中ずっと、凄く好きなものを見つけた時のドキドキ感が止まらなかったのです。 行間に潜む、島本理生さんという人の人生観みたいなものに共鳴し続けていた。という感じでしょうか? それは、もう、胸が痛むほどに。 ストーリー自体は、おそらく、私の心の振り幅の大きさが不自然なほどあっけなくて起伏がありません。主人公の淡々とした(に、見える)日常の生活。 高校を出たばかりの女の子‘ふみ’は、奔放というよりはのんびり屋過ぎる?母親と、父親の違う可愛い小さな妹と3人で暮らしている。 決して最高の家庭環境とは言いがたいのに、暖かい。 「楽しいか楽しくないかは本人次第。」というふみが母を指して言う言葉が、ものすごく印象的でした。 それって、わかりきっていることなんだけど、陳腐に聞こえないのだ。このふみちゃんが言うと。彼女のように沢山の消化できない悩みを抱えながらも、ふて腐れたりひがんだりしない、芯が決してぶれないという秘めた強さをもった女の子はとても好き。大好き。 『ナラタージュ』は島本さんの文章や個性とかではなくて、その小説内で起こる出来事や恋愛のもどかしさそのものに心を動かされたと思っていました。一生に一度の恋という謳い文句そのものの物語自体に。でも、きっと同じ設定や内容でも別の人が書いていたら、あれほど心を揺さぶられる事はなかっただろう、とも今ははっきりと思います。今回は文章の上手さ、というか心地よさ。をしっかり堪能できました。 この『リトル・バイ・リトル』、手にとって開いたどのページも好き。という意味で、『ナラタージュ』よりも好きです。 こんな優しい小説が(島本作品に限らず)もっともっと読みたいなぁ。 12月31日読了
by canal-city
| 2008-01-09 22:50
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