2005年 02月 11日
「忘却の河」を読み終えて、すぐにこちらを読み始めたら、読み進むのが早いこと早いこと。1ページの文字数が断然少ないんだもん!
(比べてみました。→) 「忘却の河」㊨がフォントサイズ1 で、「センセイの鞄」㊧はフォントサイズ2 といったところ。それに、今の小説は会話の部分で改行されるでしょ?でも、古いものは会話文も文中に含まれちゃってて、ページ目いっぱいに字が詰まってる感じ。 今のものに慣れてると読みにくいですよね~。 あまりに有名なこの小説。川上弘美さんは初めて読みましたが、この物語の文章は私にとってすごく馴染みやすい物でした。(どうやら他の作品はもう少し趣が違うようですが) そして、それほど感情移入していた訳ではないのに、読み終えてみると、この本の世界にどっぷり浸かっていた自分に気がついた。面白かった。 主人公のツキコさんとセンセイの2人にすごく好感が持てたのも面白かった理由かな? 所々、自分に置き換えてみて、「果たして私がツキコさんの立場なら、30も年上の人と恋愛ができるのかな?」と言う疑問も持ちましたが、ツキコさんの中にはそんな壁はなかった。周りに流されない、でも強すぎない‘自分’を持っているツキコさんが好きだなぁ。 センセイの方は、その壁をひしひしと感じていたのでしょうね。 この物語の中では、たくさんの美味しそうな料理が出てきました。 ツキコさんとセンセイがお酒を飲む、サトルさんの居酒屋のいろんな料理。 そのサトルさんと行ったきのこ狩りでのきのこ汁。 離島の民宿で食べた、蛸しゃぶ。 この、蛸しゃぶのシーンは、蛸が湯の中にふわっと浮いてくる様がありありと脳裏に浮かんで、「今すぐ蛸しゃぶが食べたいよ~~~じゅるっ」、て気分になりました。(笑) ある距離を保ちつつ、離れたりくっついたりする2人のこころの機微もしみじみと伝わってくるようで、とても楽しかった。 ほんわりと読み進んできたのに、ラストのツキコさんの回想の所になって突然、涙が溢れて溢れて止まらなくなりました。。 淡々と描かれていたので、気がつかなかったけれど、心の深くにこの物語が染み込んでいたんですね・・・。 あとがきにあった(文庫なので)「作品の力」を感じさせられました。 他の川上作品も興味あるなぁ。
by canal-city
| 2005-02-11 20:35
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